言の根

シンガーソングライターとして、音楽活動を5年以上してきました。僕がいつも歌っている歌には、音楽と言葉という要素があります。どちらの要素ももちろん好きなんですが、活動しているうちに”僕は音楽よりも言葉の方がどっちかっていうと好きなんだな”ということに気づきました。割合としてはおよそ6割5分ほど、言葉寄りです。

「言葉が好き」
そう口にするようになって、改めて普段触れている言葉ということに向き合うと、さらに自分の気持ちがわかってきました。”そもそも言葉ってなんなんだろう”という疑問から始まって、言語の成り立ち、自分が言葉を生む瞬間、そういうところに考えがいくようになりました。すると、どうやら”言葉が好き”という表現は半分合っていて半分合っていないなと気づきました。僕は、すでに表現された言葉や、言い回し、難しい熟語、そういうものが好きなわけじゃなく(理解するためには必要なので、覚えるのは好きですが)、表現より少し前の”気付き”にあたる部分が好きなのだとわかりました。その気付きの部分を、言葉の根っこということで”言の根ことのね“と呼ぶことにしました。

ある時を境に、僕は難しい言葉を使うことが嫌になりました。今の時代は横文字も多いし、かたい人たちは、刺激を弱めるために馴染みでない熟語を使ったり、遠回しにものを伝えたりします。感情の何気なさや、度合いの弱さを、言葉から逃げることで表現するのではなくて、あくまで言葉で表現する。見過ごせないとりとめないことがたくさんあるからこそ、そこにこだわっていきたい。取り逃してしまわないように、ひとひらひとひらすくって言葉にしていこうと思います。