君を思う幸せ 歌詞ページ

ライナーノーツ

01 Brand New Morning

朝をとにかく元気にしたいということで、この曲は、歌詞よりも音楽により力を注ぎました。体に直接訴えかけられる音楽の力を目覚まし代わりにできれば、つらい朝も楽勝なんじゃないか。そんな僕自身の願いも込めて。

食器の音をはじめて音楽に入れてみました。予想以上にリズムをちゃんと作ってくれています。食器には気づかれたかと思いますが、キャポッという音はなんだかわかりますか。実はインスタントコーヒーの蓋を開け閉めしている音です。

02 歩幅

何度も落ち込んでいた時期に、「この心の重みを少しでも軽くする方法はないんだろうか」と悩んでいました。「人と比べる必要はないんだよ」という、どこかで聞いたことがあるような言葉では、頭はわかっても心を救うことが出来ませんでした。そしてやっとの思いで出てきたのが「歩幅」という言葉でした。僕自身を何度も救ってくれた大切な言葉です。

コード進行が簡単なので、ありきたりにならないようにリズムに工夫を入れたこと。ストリングスのラインが気に入っていること。作曲をしていた時から浮かんでいたギターソロのピーク部分がうまく再現できたこと。などなど、大編成ということもあり、イメージがちゃんとまとまって良かったという音楽制作の感想です。

03 フィルム

突然の恋愛論を語ってしまいますが、「パートナー」と「異性の友達」との差は、思い出の差なんじゃないかと思います。好きになった人と一緒に過ごした時間が溜まれば溜まるほど、その人との関係が特別になります。思い出の力は偉大ですね。そんな長年連れ添った二人の曲です。

こういうリズムの曲が好きです。ギターで遊びを入れるのが楽しいので、ついたくさん入れてしまいます。そうしてバランスを取る段になって困るのは僕自身です(笑)。

04 君を思う幸せ

ずっとこの気持ちを歌いたくて寝かせていました。でもサビ以外は全然歌詞が出来なくて、実際他のパターンの歌詞が2パターンくらいあったのですが、今回のような形にまとまりました。とってもよくまとまったと思っています。

クラシックギター1本のシンプルな曲になりました。大編成が正解じゃなく、伝えたいことを伝えるための編成にすることが正解だと僕は思っているので、「歌詞しか聴くところがない」という感じがして、これでやっぱり良かったんじゃないかと思っています。

05 雨の朝

今はだいぶマシになりましたが、少し前のグズグズな朝の僕を歌いました(笑)。部屋から見る雨が結構好きです。『Brand New Morning』に続き、この曲も「朝のためのプレイリスト」シリーズの曲です。

イントロのギターリフが好きです。2サビが終わった後の間奏とその後のラップっぽい所が好きです。ジメーっとした空気になる感じ。かなり細かいですが、「裾!」の部分だけコーラスが浮き出る感じも好きです。あれ、好きしか言ってない(笑)。

06 夏祭り

前にやったイベントの中でお題作曲企画があって、そのお題が「夏」だったんです。その時の曲です。夏の恋のイメージは個人的に切なさだったり歯がゆさだったりがまず浮かびます。今回も思いっきりそういう空気感になりました。

「(日本の)夏を音楽で表現するなら」というお題が常に頭にありました。葉擦れの音があり、夏の夜っぽい切ないリフがあり、アウトロには和太鼓のイメージ。サビ直前に「シャーー!」とシェイカーがなっているのは、僕の中では「ネズミ花火」です。

07 どんな自分も

「名称」というのは便利なのですが、……例えば、何でもない箱に「ゴミ箱」とつけたら、真新しくてもなんだか汚いような気がしてしまうような悪い面もあります。年齢もそうです。病名もそうです。肩書きもそうです。そういう「決めつけられてしまうこと」から逃れたかった。そんな時に書いた曲です。

実は一番激しい曲じゃないでしょうか。サビであんなにシンバルがシャンシャン鳴ってるのはこの曲くらいです。僕の中の希少なロックンロールな気持ちが出てます(笑)。

08 抱擁

「都会の谷間から見上げた三日月」というフレーズが浮かんだ場所を今でも覚えています。東京に出て来て独りぼっち。人付き合いが苦手で、誰に言えるでもない気持ちが確かにありました。その自分まるごと抱きとめて欲しかった。

2番のサビが終わって間奏が入ります。そこでうっすらと聞こえる人の話声。僕は音楽活動を開始してからずっとライブ音源を録音して保存していました。ここで聞こえるのは、その録音した音源を重ねたものです。思い出がフラッシュバックするような感覚になります。

09 幸せの名前

この曲は、某映像制作のために書き下ろした曲です。その映像を観て歌詞を作りました。幸せって難しいですね。だから探し続けるのかもしれませんが、幸せを探している姿も、それ自体が幸せなことのようにも感じます。

ギターソロのクラシックギターの音が好きです。のほほんとしていて良い音です。この曲、歌ってみるとAメロなんかがものすごく低くて、アルバム収録のタイミングでキーが上がるという、そんな裏話もありました。

10 水平線

確かイントロのギターのフレーズが先に出来て、後から歌詞を作った曲です。そのフレーズが海のように聞こえて、水平線というイメージが出来ました。成長し続ける人は「大人」という名のゴールラインで満足しません。常につかめない水平線を追っている。そしてそれを支えてくれている人がいる。そんな歌です。

冒頭のおもちゃのような音のネタバラシをします。実は二つの音を混ぜています。ひとつはお客さんからいただいたルービックキューブ。もうひとつは、妹から旅行のお土産でもらった、インドネシアの蛇の形をした楽器です。