言葉の渡る橋

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最近、ある人と話していてふと「橋」という言葉が浮かんだ。話し合う二人の間に架けられる橋。その橋を渡るのは言葉。言葉は、その橋を渡って、行ったり来たりと二人の間を行き交う。

普段は、その橋を渡っている「言葉」の方を考えることが多いのだけれど、その時ばかりは、言葉を渡らせている「橋」の存在を強く思った。

昔から僕は、だれかれ構わずベラベラと話す方ではなかった。言葉を扱う時間だけを見れば、本を読んだり、脳内会議をしている時間の方がきっと長い。人と話をする前に、安心して言葉が行き交う関係かどうかを、つい見計らってしまう。

けれど、自分が積極的に言葉を発しなければいけない時がある。不特定多数へ向けて喋る時、はじめましての挨拶、お客さんに自分を売り込む時など。決して嫌なわけではないけれど、普段ひとりで言葉遊びをすることが多い僕からすると、これは少し異質なものに感じてしまう。その原因はきっと、言葉の質よりも、言葉の行き交いの確かさの方に重きが置かれるからだ。

良い言葉が出来て、それを良しとされるのは嬉しい。しかし、どんな言葉であっても、「あなたの言うことなら」と無条件に信頼してもらえるのも嬉しい。前者は、言葉自体を良くしようとすることで、後者は、言葉の行き交いを確かなものにすることだ。

尊敬できない上司の言葉が耳に入らないように、口だけがうまい嘘つきな人の言葉を信じられなくなるように、信頼のない人との間には、言葉の渡る橋が架からない。どんなにありがたい説教や教訓を言っていても、橋がなければ、心までは届かない。

……性格的に、僕は積極的な橋づくりが苦手ですが、ゆっくりと橋づくりも出来るようになろうと思います。まずは、この文章と、この文章を読んでくれている人との間に架かっている橋から。

コメント

  1. Kokoro より:

    isaoさんの言葉はいつも優しくて温かいですよね✩
    支えられているような、包まれているような安心感があります✩誰のどんな立場にも寄り添ってくれるような包容力も*
    でもきちんと、揺るぎない信念が中心にあって、そんな所に「誠実さ」を感じています✩.*˚
    私はその一部でも受け取れているのかな?メッセージを見落としていないかな?
    自問自答はいつも続いています
    きっとそれだけ好きなんでしょうね、isaoさんの音楽が♬︎

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